林 直 (はやし ただし)
京都生まれ。
大阪芸術大学写真学科を卒業後「東川町国際写真フェスティバル」の企画運営の補佐。
その後家業の写真館を経営、京都国立近代美術館客員研究員を兼務ののち、現在は林写真館のほか、大阪芸術大学特任教授、同志社女子大学やニコンカレッジの講師として活躍中。
国内外で写真展多数開催。著書に「みつめる写真舘」。
みつめる写真館
物と人、人と人との関係について、じっくりと見つめてみたいと思い、このシリーズを撮り始めました。消費社会と呼ばれて久しい現在。新しい物が次々と作られ、引き替えに想像も出来ないほどたくさんの物が処分され続けています。安価で気軽に使い捨てられるものが世の中を埋め尽くすようになりました。近年、頻繁に起こるようになった劣悪な事件の報道を眺めていると、希薄になってしまった物や人との関係性にも何かの関連があるように思えてきます。
そんな中にも僅かな希望を持って「愛着」ということを見つめ直してみることにしました。私たちの周辺を見直してみると、誰にでも一つや二つは捨てられずに大切にしている物があるのではないでしょうか。そのような思いが寄せられた物たちを、ちょうど写真館で記念写真を撮影するように一つひとつ丁寧に見つめ、写真に仕上げることを心がけました。
ここに集まった写真とエピソードはそれぞれの思いが寄せられた幸せな物たちです。この撮影に取り組んだことで、私自身がまず一番に力をいただいたと感じています。そして撮影にご協力下さった方々にとっては改めてそれぞれの思いを確認する機会となったことでしょう。さらにはこれらの写真をご覧になるあなたにも何らかの歓びを感じていただけると何よりです。
撮影のために大切な物をご提供下さった方々、撮影場所としてご協力いただいた多くの施設や関係者の方々、機材等の面で助けて下さった皆様にもこの場をお借りして深く感謝の意を表したいと思います。
